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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻12号

1989年12月発行

文献概要

今月の主題 小さな未分化型胃癌―分化型と比較して 主題症例

原発巣が微小であったlinitis plastica型胃癌の1例

著者: 斎藤洋子1 伴慎一1 中村恭一1

所属機関: 1筑波大学基礎医学系病理

ページ範囲:P.1421 - P.1426

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要旨 患者は60歳男性で,上腹部もたれ感を主訴として人院した.切除胃は全割による病理組織学的検索がなされた.癌組織型は未分化型癌であり,癌が粘膜面に露出していたのは胃体部前壁の小陥凹面と胃角部小彎のびらん面であった.原発巣と考えられた小陥凹は,最大径5mmでUl-Ⅱの浅い潰瘍を伴い,組織学的に腸上皮化生のない胃底腺粘膜領域に存在していた.前庭部小彎のびらん周囲の粘膜は,腸上皮化生を伴った萎縮性幽門腺粘膜であり,病理組織学的および臨床的に粘膜下層内の癌細胞が逆行性に粘膜内へ進展したものと考えられた.粘膜下組織以深の癌浸潤範囲は20×17cmに及び,原発巣が微小であったいわゆるlinitis plastica型胃癌であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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