文献詳細
文献概要
今月の主題 大腸腺腫と癌(1) 序説
大腸の腺腫と癌:諸々の臨床病理学的な事象と癌組織発生と癌組織診断基準と
著者: 中村恭一1
所属機関: 1筑波大学基礎医学系病理
ページ範囲:P.127 - P.130
文献購入ページに移動さて,編集委員会で特集“大腸の腺腫と癌”の序説を書くように言われ,その際には公正に書くようにとの注文を受けました.それは,大腸癌組織発生“大腸癌の70~80%はde novo cancerである”を主張している私たちであるがゆえに,一方的な観点から感情的に書くことなく,両方の立場から“すじをとおして”ということでありましょう.言い換えれば,論理的であれと.ところでこの世では,論理とは冷たいもの,あるいは冷たい論理などと表現されることがあります.そうすると,冷たいとは感情的な形容によく用いられる言葉ですから,ここでは考えをどのよう書いたらよいのやら路頭に迷ってしまいます.なぜかというと,考えるとは言葉で考え,言葉は論理という規則で組み立てられていますから,考えをあるいは問題点を記述するためにはどうしても論理という規則を踏まえねばならないからです.しかし,論理を冷たく感じるも感じないも人それぞれの感性によるものですから,ここでは常日ごろ“大腸癌の構造”について考えていることの一端を,より論理的であるように述べさせていただいて序にかえたいと思います.
掲載誌情報