icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻2号

1989年02月発行

文献概要

今月の主題 大腸腺腫と癌(1) 主題

大腸腺腫の経過

著者: 石川勉1 牛尾恭輔1 関口隆三1 稲吉康吉1 水口安則1 縄野繁1 山田達哉1 宮本兼吾2 吉田茂昭2 板橋正幸3 広田映五3

所属機関: 1国立がんセンター放射線診断部 2国立がんセンター内科 3国立がんセンター研究所病理

ページ範囲:P.167 - P.178

文献購入ページに移動
要旨 大腸腺腫のnatural historyを解明するため,①1年以上の間隔をおいて2回以上注腸X線検査が施行され,②組織学的に腺腫・腺腫内癌が証明された132症例(214病変)を対象に,X線学的に病変の大きさ・形態の推移を検討した.平均観察期間は5.7年(1年~最長15.7年),注腸X線検査の平均回数は3.27回,組織型は管状腺腫190病変,管状絨毛腺腫9病変,絨毛管状腺腫9病変,絨毛腺腫1病変と腺腫内癌5病変である.観察期間中における病変の大きさの推移を注腸二重造影写真を用いて検討した結果,無変化群が最も多く112病変(52%),増大したもの72病変(34%),縮小・消失したもの30病変(14%)であった.初回の大きさが5mm以下の群130病変を検討した結果でも無変化群が最も多く74病変(57%),次いで増大群の44病変(34%),縮小群は12病変(9%)であった.無変化群と病変の増減値[(初回の大きさ)-(終回の大きさ)]±2mmまでを合わせると,約9割以上の病変はこの範囲に含まれていた.また,部位別にみた腺腫の増減の検討では,特定の部位に増大の頻度が高いという結果は得られなかった.形態上の変化も約9割の病変は無変化であった.腺腫のdoubling time(DT)は5.83年,腺腫内癌のDTは2.38年であり,進行癌症例のDTと比較して,腺腫の発育・進展は緩慢であると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら