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今月の主題 大腸腺腫と癌(2) 主題
大腸腺腫と癌の関係―私の診断基準より
著者: 小池盛雄1 滝沢登一郎1 岡部聡1 永井鑑1 山中昭良1
所属機関: 1東京都立駒込病院病理科
ページ範囲:P.264 - P.268
文献購入ページに移動“腺腫”という病理診断名は内分泌臓器および大腸で最も頻繁に用いられている.更に近年胃の特定の病変についても診断名として定着している.内分泌腺臓器そのほかの実質臓器では腺腫は過形成や癌との鑑別が問題となる病変として考えられている.胃の腺腫は内視鏡的特徴,経過観察も含め病理形態学的に比較的単一の病変を扱っている1)2).これに反して大腸では肉眼的形態も,病理組織学的所見も極めて幅の広い像を“腺腫”とし,また,病理医によってその幅が異なっているという大きな相違がある3)4).しかし内分泌臓器とは異なり,多くの場合は過形成との鑑別が問題になるようなことはない.この中には構造異型,細胞異型の極めて軽いものから著しいものまで存在し,それらの異型度はある程度連続したスペクトラムを形成している.
他方,sm以下に浸潤する大腸癌でも異型の顕著なものから軽い高分化のものまで存在し,高分化な癌の症例ではその一部の拡大像では“腺腫”とされているものとの鑑別の困難な症例も存在する.
このような認識を持って大腸の腺腫を考えると大腸の腺腫は本来potential malignantあるいはlow grade malignantのり5百を多く含んでいる可能性がある5).
学問的でない,あるいは論理的でないとの誘りは免れないが,粘膜内に病変がとどまっている限りにおいては癌であれ腺腫であれ,臨床的には治療方法が変わらないということで,その両者の鑑別を曖昧にしていたというのがわれわれの実情であり,組織計測による中村ら6}の診断基準を必ずしも日常診療には採用していなかった.しかし近年平坦型あるいは陥凹型の粘膜内腫瘍病変が臨床的に発見,切除されるようになり,厳しい鑑別が要求されている.
われわれの口常の診断は多くの場合,経験に裏づけられた主観によってなされる.主として1cm以下の微小大腸癌の検討から得た結果を基にその鑑別の基準を模索しており,その実例を呈示したい.
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