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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻3号

1989年03月発行

文献概要

今月の主題 大腸腺腫と癌(2) 主題研究

平坦・陥凹型早期大腸癌の内視鏡診断と治療―微小癌の内視鏡像を中心に

著者: 工藤進英1 林俊一2 三浦宏二1 高野征雄1 斉藤純夫2 鹿嶋雄治3

所属機関: 1秋田赤十字病院外科 2秋田赤十字病院内科 3新潟大学医学部第1外科

ページ範囲:P.317 - P.329

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要旨 大腸には胃や食道と異なり,Ⅱb型やⅡC型早期癌はほとんどないとされてきた.しかし,その存在を十分に意識してtotal colonoscopyを行うことにより全腫瘍の3.5%に,早期癌の159%に平坦・陥凹型病変が発見された.Ⅱb 7病変,Ⅱc 13病変,Ⅱc+Ⅱa 5病変であり,平坦・陥凹型の癌の頻度は51.0%と高かった.内視鏡像の特徴は,①淡い発赤,褪色で存在診断されることが多い,②空気変形を80%に伴う,③diffuseな発赤で辺縁不整を伴う,であり,微小癌は,①発赤不整,②微小陥凹,③褪色不整,④発赤類円形,の4型に形状分類された.実体顕微鏡所見では陥凹部に一致しfineな管状~類円形のpitの集合が特徴であり,ときに不整,無構造所見を認めた.10mm未満で,深い陥凹や強い空気変形を伴わない場合は,strip biopsyで治療が可能であった.平坦・陥凹型早期癌は従来考えられていたより多く存在することを強調した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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