研究
回腸粘膜の萎縮
著者:
楊希山1
周殿元1
馮福才1
楊利生1
呉國渡1
潘徳寿1
万田謨1
沈俊1
所属機関:
1第一軍医大学附属南方医院全軍消化センター
ページ範囲:P.413 - P.421
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要旨 過去9か月間にわれわれの施設で192例に回腸内視鏡検査を施行し,うち17例は内視鏡観察下に粘膜色が淡い赤色あるいは灰色を呈し,光輝性が喪失し,光沢がなく,血管透見像ははっきりしていた.健常的なビロード様から平絨様(velveteen)となった.腸腔の多くが拡張していた.筆者らが工夫したIndia ink標識法を用いて,内視鏡下に生検標本を採取した41例の健常者と17例の回腸粘膜萎縮の回腸粘膜を定向(orientational)包埋し垂直に切り出し,光顕と走査電顕で観察した.健常回腸粘膜の絨毛の高さは370μmから500μmまで,平均416±22μmであるが,回腸粘膜萎縮の絨毛の高さは0から320μmまで平均185±164μmであった.両者の間には著明な差があった(p<0.001).絨毛萎縮の程度に基づいて,軽度萎縮,中等度萎縮,高度萎縮,および萎縮疑いに分けた.萎縮程度と炎症程度の間には有意差はなかった.走査電顕下では,軽度萎縮で絨毛が著明に短くなり,中等度萎縮で乳頭状となり,高度萎縮で顕著な絨毛構造がなく脳回状を呈していた.