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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻4号

1989年04月発行

文献概要

症例

十二指腸乳頭部癌に合併した胆道回虫迷入症の1例

著者: 木須達郎1 山岡宏太郎1 内田康文1 森久男1 武藤義孝1 香月洋一1 原田貞美2 伊山明宏2 久次武晴2 山田浩巳3 徳永蔵4

所属機関: 1佐賀医科大学消化器内科 2佐賀医科大学消化器消化器外科 3佐賀医科大学消化器放射線科 4佐賀医科大学消化器病理

ページ範囲:P.443 - P.448

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要旨 54歳,女性.主訴は心窩部痛.腹部超音波検査で総胆管内に中空の索状影を認め胆道回虫迷入症を疑われ,ERCPで確診.虫体はEST,駆虫剤で自然排泄した.3か月後,再び心窩部痛出現ERCPで胆膵管の拡張と総胆管末端の陰影欠損像を認め,腫大した十二指腸乳頭部の生検で高分化型腺癌と診断され,膵頭十二指腸切除術を施行した.文献を見ると1980年以降,本邦胆道回虫迷入症の報告は19例で,回虫症は激減したが胆囊炎様症状を呈する急性腹症の際に本症は忘れてはならない.超音波検査で中空の索状影が認められればその診断は容易である.治療は,駆虫剤の使用や内視鏡的摘出など保存的に経過をみて,それに抵抗するものや,合併症のあるものが手術適応となろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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