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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻4号

1989年04月発行

症例

胃巨細胞癌の1例

著者: 金平永二1 佐々木正寿1 橋爪泰夫1 大村健二1 山田哲司1 北川晋1 中川正昭1 瀬川安雄1 林守源2 杉浦仁2 河村洋一3

所属機関: 1石川県立中央病院一般消化器外科 2石川県立中央病院病理科 3石川県立中央病院血液免疫内科

ページ範囲:P.455 - P.460

文献概要

要旨 患者は51歳,女性.心窩部不快感を主訴として近医を受診,当科を紹介された.胃X線内視鏡検査により胃噴門部から穹窿部にかけての大きなBorrmann 1型様の進行癌が発見され,手術となった.手術時の肉眼所見は,H0P0S2N1で,胃全摘出とR2の郭清が施行された.病理組織検査により,この腫瘍は直径40~80μmの,多核を有する巨細胞を中心として構成され,具体的構造が全く欠如していることが明らかとなり,極めてまれな胃原発の巨細胞型未分化大細胞癌と診断された.患者は術後約2か月で多発性肝転移と右癌性胸膜炎を来し,急速な経過でmultiple organ failure(MOF)となり死亡した.一方,本症例には,腫瘍量に比例して変動する著明な白血球増多が認められたが,腫瘍組織からはcolony stimulating factorは検出できなかった.胃原発の巨細胞型未分化大細胞癌は本症例を含めてもわずかに3例が報告されているのみである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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