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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻4号

1989年04月発行

文献概要

症例

術前診断が困難であった胃悪性リンパ腫の1例

著者: 中野浩1 安座間聡1 山本尚人1 高野映子1 亀井明1 長岡芳1 斉藤治人1 宮地育郎1 山内雅博1 堀口祐爾1 中島澄夫1 伊藤圓1 伊左治秀孝2 宮川秀一2 川瀬恭平2 三浦馥2

所属機関: 1藤田学園保健衛生大学内科 2藤田学園保健衛生大学外科

ページ範囲:P.461 - P.466

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要旨 患者は44歳,男性.主訴は空腹時の心窩部痛.外来の胃X線検査では胃角部後壁に2個の大きな潰瘍があった.2か月後のX線検査では潰瘍は著明に縮小したが,胃角部の小彎線,大彎線に硬化像がみられた.初回より5か月後のX線,内視鏡フィルムでは胃角部より胃体部後壁にかけて腫大した粘膜ひだの集中を伴う浅い不整形の陥凹を認めた.これらの所見より胃癌,または悪性リンパ腫を強く疑ったが,この間にとられた胃生検標本には,これらの所見がみられなかった,悪性病変として胃全摘術を施行した.切除胃の病理組織学的検索の結果,診断はびまん性,中型の悪性リンパ腫であった.悪性リンパ腫の細胞は粘膜内,粘膜下層に広くみられ,固有筋層,漿膜下層にも一部浸潤していた.今後,通常見慣れない胃病変を扱うときには,胃生検診断のみに頼ることなく,X線,内視鏡所見も疎かにしてはならないと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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