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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻5号

1989年05月発行

今月の主題 腸管の悪性リンパ腫(2)

主題

腸管悪性リンパ腫の治療と予後

著者: 太田博俊1 高木國夫1 西満正1 畦倉薫1 関誠1 上野雅資1 丸山雅一2 佐々木喬敏2 加藤洋3 高野康雄3 堀越昇4

所属機関: 1癌研究会付属病院外科 2癌研究会付属病院内科 3癌研究会付属病院研究所病理部 4癌研究会付属病院化学療法科

ページ範囲:P.529 - P.538

文献概要

要旨 原発性腸管悪性リンパ腫32例の内訳は,十二指腸1例,空腸4例(含,他臓器重複),回腸16例(含,他臓器重複),大腸11例(含,他臓器重複)であった.腸管多発悪性リンパ腫は4例あり,12.5%を占め,他臓器重複例は10例,31.3%に認められ,主に胃や他の消化管であった.腸管悪性リンパ腫の治療は,根治手術が13例(41%)に施行され,残り19例が姑息手術に終わった.その理由は大動脈周囲リンパ節(n4+)転移陽性が13例(68%)に認められ,腹膜播種5例,肝転移2例もn4+例と重複して認められた.他の6例は局所所見のためであった。肉眼分類では小腸は壁肥厚型が多く,大腸では潰瘍型が多かった.組織型はLSG分類でdiffuselarge cell型が多かった.腸管悪性リンパ腫が臓器原発か,全身性の一部分症かを手術前に明確にするのは困難であるが,いずれにしても消化管症状を取るため可及的に切除すれば,姑息手術に終わっても,化学療法(AVCP,EMLP,CHOP,VEPAMなど)を施行し,CRを認め5年以上生存例を2例も経験しているので,腸管原発例では姑息手術でも腸管切除を行うことは有意義であり,化学療法で初回寛解導入が得られれば長期生存が期待できよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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