icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻5号

1989年05月発行

文献概要

今月の主題 腸管の悪性リンパ腫(2) 主題症例

潰瘍性大腸炎に合併した大腸悪性リンパ腫の1例

著者: 藍沢修1 岡崎悦夫2 山本睦生1 斉藤英樹1 桑山哲治1 丸田宥吉 若佐理1 月岡恵3

所属機関: 1新潟市民病院第1外科 2新潟市民病院病理部 3新潟市民病院消化器内科

ページ範囲:P.561 - P.566

文献購入ページに移動
要旨 潰瘍性大腸炎に悪性リンパ腫を合併した症例を経験した.患者は39歳男性で,発熱・下痢・腹痛を主訴に来院し,注腸X線検査,内視鏡検査と生検で全結腸炎型の潰瘍性大腸炎と診断された.内科的治療を続け一時軽快したが,約5年後に再燃し,発熱・下血により全身状態が悪化したため,止むなく全結腸・直腸切除兼回腸瘻造設術を施行した.切除標本の詳細な病理組織学的検索で,多発性の悪性リンパ腫(びまん性リンパ腫・大細胞型,T細胞型リンパ腫)の合併が確認された.潰瘍性大腸炎に合併する悪性リンパ腫の報告例は非常に少なく,両疾患の因果関係もいまだ詳細には解明されていない.本症例では,反応性か腫瘍性か鑑別に苦慮したT細胞性リンパ球の増殖が優位であり,リンパ腫との移行が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?