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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻6号

1989年06月発行

文献概要

今月の主題 急性胃粘膜病変(AGML) 主題

原発性肝癌に対する経カテーテル的肝動脈化学塞栓療法後の急性胃粘膜病変の病理組織学的検索

著者: 岩下明徳1 宮ケ原俊郎2 松隅哲人2 飯田三雄3 平川雅彦3 安森弘太郎4 望月祐一5

所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理 2九州大学医学部第2病理 3九州大学医学部第2内科 4九州大学医学部放射線科 5福岡大学筑紫病院内科・消化器科

ページ範囲:P.629 - P.636

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要旨 原発性肝癌に対する経カテーテル的肝動脈化学塞栓療法(TACE)後の急性胃粘膜病変(AGML)25症例42病変について,病理組織学的立場から検討した.42病変中,10病変が潰瘍,7病変がびらん性胃炎と組織診断された.これら17病変のうち,上皮細胞の異型は13病変(76.5%),異型線維芽細胞は11病変(64.7%),異型内皮細胞は5病変(29.4%),死生性腺管は10病変(58.8%),結合織増生は5病変(29.4%)に認められた.びらん性胃炎よりも潰瘍で上皮細胞異型は強い傾向があった.上皮細胞異型は軽いものが多かったが,中等度以上の異型を示す細胞は,多形性でくすんだ過染色性大型核と微細空胞状の比較的広い好酸性胞体を有しており,変性・壊死性変化を示す細胞も認められた.以上の結果から,TACE後のAGMLには上皮細胞,間質細胞に異型が出現する可能性が高いことを指摘し,併せて癌との鑑別点とTACE後のAGMLの成因について簡単に考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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