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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻6号

1989年06月発行

文献概要

今月の主題 急性胃粘膜病変(AGML) 主題

急性胃粘膜病変の成因―内科の立場から

著者: 原田一道1

所属機関: 1旭川医科大学第3内科

ページ範囲:P.637 - P.644

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要旨 急性胃粘膜病変(AGML)の成因として,①ストレスによるもの,②各種薬剤によるもの,③飲食物によるもの,④胃の血管性変化に基づくもの,の4つに分けている.内科で扱うストレスによるAGMLの大半は精神的ストレスによるものである.その病型としては,出血性びらんが多発するものが多く,次いで白苔をこうむる浅い潰瘍性変化の多発するもの,びまん性の粘膜出血だけをみるもの,これらが混在するもの,に大別できる.薬剤によるAGMLの中では解熱・鎮痛・消炎剤によるものが45%を占めており,老年者に多く発生する傾向にあった.飲食物によるAGMLとしては,アルコールによるものが代表的であるが,ニンニク,激辛食品でも発生した例を経験している.胃の血管性変化によると思われるAGMLは老年者の胃体部に巨大な深い潰瘍を呈することが特徴である.内視鏡検査後のAGMLは0.1%の発生頻度であったが,発生機序については今後の課題である.いずれにしてもAGMLの診断においては,上部消化管をくまなく内視鏡的に観察することが重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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