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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻8号

1989年08月発行

文献概要

今月の主題 腸のカルチノイド 主題

大腸カルチノイドの診断と治療

著者: 石川勉1 牛尾恭輔1 草加勝康1 関口隆三1 水口安則1 縄野繁1 山田達哉1 吉田茂昭2 藤井隆広2 廣田映五3 板橋正幸3 森谷冝皓4 北条慶一4

所属機関: 1国立がんセンター放射線診断部 2国立がんセンター内視鏡部 3国立がんセンター研究所病理 4国立がんセンター外科

ページ範囲:P.891 - P.902

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要旨 1988年末までの19年間に国立がんセンター病院で経験された大腸カルチノイドは43症例43病変で,うち42例は直腸に認められた.病変が大きくなるにしたがい,病変の立ち上がりもなだらかなものからくびれをもつものが多くなり,また陥凹を有する病変の頻度が高くなった.陥凹を有する病変では固有筋層浸潤,リンパ節転移,肝転移など悪性カルチノイドの割合が高かった.生検の陽性率は95%であった.遡及的検討が可能であった4例4病変のうち形態・大きさに変化を認めなかったものが2例,4年間に7~10mmと変化し,粘膜下層まで浸潤し転移を認めないもの1例,5年7か月間に13~25mmと増大し中心陥凹の出現を認め,固右筋層への浸潤と肝転移を伴って死亡したものが1例あった.カルチノイドによる死亡はこの肝転移を伴った1例と,粘膜下層まで浸潤した1例の計2例で,合併した直腸癌による死亡が1例あった.治療は内視鏡的あるいは外科的ポリペクトミーなどの局所切除により腫瘍の切除が可能なものが多いが,悪性のカルチノイドに対しては癌に準じた根治手術が必要であり,その悪性の診断指標には大きさと陥凹の有無が重要な所見と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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