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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻8号

1989年08月発行

文献概要

今月の主題 腸のカルチノイド 主題研究

虫垂の杯細胞カルチノイド(goblet-cell carcinoid)―杯細胞カルチノイドは本当にカルチノイド腫瘍の1 variantか?

著者: 岩下明徳1 黒岩重和2 遠城寺宗知3 恵良昭一4 佐野寿昭5

所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理 2浜の町病院病理 3九州大学医学部第2病理 4国立別府病院病理 5徳島大学医学部第1病理

ページ範囲:P.939 - P.947

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要旨 虫垂の杯細胞カルチノイドの6症例につき,臨床病理学的立場から検討した①組織学的に本腫瘍は粘液産生細胞,好銀性細胞,銀還元性細胞,粘液と銀顆粒を同時に有する細胞,Paneth細胞などの種々の成熟型細胞から構成されていたが,概して銀反応陽性細胞は少なかった.一方,②リンパ管侵襲と神経周囲浸潤は全例に,静脈浸潤は3例に認められ,6例中3例に手術時すでにリンパ節転移と回腸盲腸壁への直接浸潤がみられた.そして,③5年以上の経過観察がなされた5例中4例が5年以内に癌性腹膜炎で死亡していた.以上の結果から,本腫瘍は十分な悪性性格を有する腫瘍で,本腫瘍をカルチノイドの1 variantとするには問題があることを指摘し,併せて本腫瘍の名称に関する簡単な考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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