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文献詳細

雑誌文献

胃と腸24巻9号

1989年09月発行

今月の主題 胃粘膜下腫瘍の診断―現況と進歩

主題症例

臨床的に平滑筋腫と診断された胃神経鞘腫の1例―特に組織学的鑑別について

著者: 甲田賢治1 小川博1 喜納勇1 小田和弘2 宮原透3 金子栄蔵4

所属機関: 1浜松医科大学第1病理 2国保佐久間病院内科 3浜松医科大学第1外科 4浜松医科大学第1内科

ページ範囲:P.1045 - P.1049

文献概要

要旨 患者は54歳,女性.無症状で集団検診で胃腫瘤を発見された.X線,内視鏡検査で胃体下部後壁にbridging foldを持つ直径5cmの粘膜下腫瘤を認めた.生検で平滑筋腫の診断を受け,胃切除術を施行した.肉眼的には5×5×4cmの大きさの腫瘤で弾性硬,割面は黄白色,境界明瞭で出血や壊死はみられなかった.病理組織所見では腫瘍は固有筋層を中心に存在し,周囲にはリンパ球の密な集簇が認められた.紡錘型で好酸性の胞体を持つ腫瘍細胞は束状に配列し,核は不規則な柵状配列を示した.S-100蛋白質とGFAPが陽性を示し,平滑筋腫に陽性のdesminは陰性であり胃神経鞘腫と診断された.胃神経鞘腫と平滑筋腫との鑑別には腫瘍割面の肉眼所見ならびに特徴的組織所見と免疫染色が有用である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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