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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻1号

1990年01月発行

文献概要

今月の主題 上部消化管X線検査の現状の反省と将来―検査モデルを求めて 主題

初回検査における胃癌の見逃しとその対策

著者: 八尾恒良1 櫻井俊弘1 中原束1 田中啓二2 竹中国昭2 飯田三雄3 松井敏幸3 岡田光男4 前田和弘4 今村達也4

所属機関: 1福岡大学筑紫病院内科・消化器科 2福岡成人病センター 3九州大学医学部第2内科 4福岡大学医学部第1内科

ページ範囲:P.27 - P.37

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要旨 最近3年間に唐津胃研究所,福岡成人病センター,福岡大学第1内科,福岡大学筑紫病院で診断され,診断過程の明らかな614個の胃癌につき検討した.614病変中,紹介例,集検例を除いたルーチン検査例は366病変であった.X線先行例中,少なくとも癌の存在がチェックされたものを対照群(C群)とし,見逃し群(A群)と比較した.同様に内視鏡先行例を見逃し群(a群)と対照群(b群)に分けて比較した.A群,a群ともに対照群に比較して早期癌,多発癌,20mm以下の癌が有意に多かった.X線見逃し群(A群)ではC領域が有意に多かった.見逃し率はX線検査先行例で10.2%,早期癌だけを対照とすると19.0%であった.内視鏡の見逃し例は1例0.8%であった.しかし,2年以内さかのぼった期間に見逃されていた“見逃し既往例”がX線先行例に15例,内視鏡先行例に19例みられた.臨床的には胃癌の確診が内視鏡と生検で確かめられた症例のみに行われることを考えると,内視鏡検査でもX線検査と同じくらいの見逃しが起こっていることが示唆された.また,C群の多発病変や小胃癌の頻度,病変部位の分布などはpanendoscopyで発見されたものの報告と同じであった.以上の事実から,初回X線検査の見逃しはpanendoscopyの見逃しと差はないと考えられ,その対策は自信を持ってX線検査に従事し,質の高い検査を目指すことにあると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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