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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻1号

1990年01月発行

文献概要

症例

原発性の腸管非定型抗酸菌症の1例―A New Clinical Entity

著者: 藤沢和明1 渡辺英伸3 山本邦子2 奈須俊史1 北原靖久1 斎藤肇4

所属機関: 1九州労災病院内科 2九州労災病院検査科 3新潟大学医学部第1病理 4島根医科大学医学部微生物・免疫

ページ範囲:P.95 - P.102

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要旨 患者は23歳の女性.主訴は右下腹部痛と発熱.現症として四肢に結節性紅斑,会陰部に皮膚硬結を認めた.検査で貧血と炎症所見を認めた.ツ反陽性で,胸写と上部消化管X線検査は正常.注腸検査でBauhin弁は開大し,回腸末端は拡張していた.盲腸から上行結腸(近位半分)の管腔は著明に狭窄し,その粘膜面には半球状の隆起がみられた.横行結腸にも2病巣が飛躍して存在し,各々潰瘍瘢痕と炎症性ポリープの肉眼所見を呈していた.大腸生検でLanghans型巨細胞を伴う非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が認められた.局所の腸液および生検材料の塗抹標本より,多数の非定型抗酸菌が検出された.病態は抗結核療法で改善した.原発性の腸管非定型抗酸菌症の報告は,国内外ともこれまで皆無で,new clinical entityと思われ,その最初の症例を報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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