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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻1号

1990年01月発行

文献概要

症例

牛眼像の多発を示した全身性悪性リンパ腫胃転移の1例

著者: 中野實1 松崎修2 藤本昌雄2 勝峰康夫3 竹田寛4

所属機関: 1市立伊勢総合病院消化器センター 2市立伊勢総合病院内科 3市立伊勢総合病院外科 4三重大学医学部放射線科

ページ範囲:P.103 - P.108

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要旨 78歳,男性.主訴は右上腹部痛.胃X線検査で胃のほぼ全域に中心陥凹を有する大小の隆起が多発し,あるものは牛眼像を呈した.胃内視鏡検査でも同様の所見で,中心陥凹に凝血の付着をみるものもあり,生検で悪性リンパ腫が疑われた.腹部CTは傍大動脈リンパ節の著明な腫大を示した.経過中,吐血のため胃を全摘.切除胃肉眼標本では胃の全域に大小の隆起が不規則に多発し,多くは中心陥凹を伴っていた.組織学的に,隆起は粘膜最表層を残して粘膜層から粘膜下層にdiffuseに増殖した腫瘍細胞から成り,後腹膜リンパ節原発と推測されるdiffuse large cell type悪性リンパ腫の胃転移と診断した.転移性胃腫瘍の診断は,本例のように牛眼像の多発を伴った場合には容易である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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