文献詳細
--------------------
文献概要
この本の書評を時期はずれの今ごろになって書いたことにはそれなりの理由がある.1988年は私にとって心穏やかでない年だった,そのころまで,“大腸の無茎性で10mm台の隆起性病変の91%は早期癌である”という自説に修正が必要とは考えていなかった.そして,その自説は私が本書の著者である中村から受けた啓示みたいなものに支えられていたのである.
ところが,その年,新しい資料で論文を書くべくポリペクトミー材料を整理し,肉眼形態と病理の診断をつき合わせてグラフを作成したところ,自説はほとんど崩壊の憂き目をみた.1973年から15年間のデータをインプットして作成したグラフは,無茎性で10mm台の早期癌の割合は53%と無残な数字をはじき出していた.
ところが,その年,新しい資料で論文を書くべくポリペクトミー材料を整理し,肉眼形態と病理の診断をつき合わせてグラフを作成したところ,自説はほとんど崩壊の憂き目をみた.1973年から15年間のデータをインプットして作成したグラフは,無茎性で10mm台の早期癌の割合は53%と無残な数字をはじき出していた.
掲載誌情報