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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻11号

1990年11月発行

文献概要

今月の主題 直腸のいわゆる粘膜脱症候群 主題症例

全周性の隆起を呈した直腸のmucosal prolapse syndromeの1例

著者: 櫻井俊弘1 王恒治1 八尾恒良1 岩下明徳2 山田豊2

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.1331 - P.1334

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要旨 患者は22歳,男性.主訴は粘液便と肛門不快感である.大腸X線検査では直腸に粘膜の肥厚による管腔狭小化を認めた.大腸内視鏡検査では,肛門輪のすぐ口側の下部直腸に全周性の粘膜腫脹を認めた.色調は軽度発赤調で表面はほぼ平滑であった.病変は通常の順視では観察できず,直腸内反転操作でのみ観察可能であった.超音波内視鏡像では第2層,第3層の肥厚がみられた.生検で粘膜固有層の深部に線維筋症が認められ,mucosal prolapse syndrome(MPS)(隆起型)と診断した.隆起型MPSの場合,本例のように全周性の粘膜肥厚を呈するものはまれと考えられる.ただし,肉眼的な変化が軽微なために見逃されている可能性もあり,今後詳細な検索による症例の発見に期待したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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