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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻12号

1990年12月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌類似進行癌の診断 主題

肉眼的に早期胃癌と判定した早期胃癌類似進行癌の実態―肉眼所見と組織学的所見

著者: 石黒信吾1 辻直子1 加藤元一1 建石竜平1 和田昭1 谷口春生1 平塚正弘2 古河洋2 岩永剛2

所属機関: 1大阪府立成人病センター病理 2大阪府立成人病センター外科

ページ範囲:P.1415 - P.1420

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要旨 肉眼的に早期胃癌と判定した早期胃癌類似進行癌の実態を究明するために,胃癌手術例2,547例のうち,肉眼的に早期癌と診断した進行癌(以下表在型類進癌)59例を取り出し,年齢,性および組織型を一致させたsm癌とBorrmann型進行癌とを対比して,臨床病理学的に検索した.表在型類進はM領域に存在し,肉眼的にⅡc+Ⅲ型を示す症例が多かった.深達度はBorrmann型に比べてpmが多く,脈管侵襲はsm癌と同等であり,リンパ節転移率,stageはsm癌に近い値を示した.組織学的に浸潤形式をみると,表在型類進癌は,潰瘍を伴いpm以下に微小浸潤を示す分化型癌の症例が多く,潰瘍を伴わない症例は,びまん浸潤を示す未分化型癌が多かったが,いずれの型も,pm以下に浸潤した癌の量は少なかった.また予後の面よりみると,5年生存率は,ss以下の癌が含まれているにもかかわらず,一般のpm癌よりよく,sm癌に近い値を示した.以上より,表在型類進癌は,早期癌と区別できないという肉眼的な所見をよく反映し,組織学的にもsm癌と近似の所見を示すpm以下に少量の癌細胞の浸潤を認める癌であった.したがって,早期癌から進行癌へ至る中間的な癌というより,むしろsm癌と同等の臨床的な評価を受けるべき癌と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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