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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻12号

1990年12月発行

今月の主題 早期胃癌類似進行癌の診断

主題

早期胃癌類似進行癌診断の指標と確かさ

著者: 浜田勉1 三輪洋人1 最所大輔1 大蔵隆一1 梁承郁1 大野雅子1 渡邊晴生1 今井靖1 小林修1 永原章仁1 前広康平1 村井敏夫1 吉峰二夫1 佐藤信紘1 白壁彦夫2

所属機関: 1順天堂大学医学部消化器内科 2早期胃がん検診協会中央診療所

ページ範囲:P.1429 - P.1440

文献概要

要旨 早期癌類似進行癌を独立した陥凹型進行癌とし,その肉眼型を決め診断の確かさを検討した.1978年から1989年までに経験した進行癌のうち5型は103病変(22.8%)で,そのうち,ひだ集中を伴いBorrmann型の周堤隆起を伴わない進行癌は82病変(79.6%)あり,これに同期間のひだ集中を伴う早期癌を加え,X線的に検討可能例(m:96病変,sm:91病変,進行癌:45病変)で検討した.周囲の隆起(++)をpm以下と診断すれば,早期癌の4.8%を進行癌と,進行癌の68.9%を早期癌と誤診する.ひだ集中(++)は潰瘍に伴うpm以下の組織学的変化を示すと考えられ,この指標では早期癌の29.9%を進行癌と,進行癌の35.6%を早期癌と誤診する.周囲の隆起(++)とひだ集中(++)を組み合わせると進行癌の73.3%が正診された.しかし,26.7%は早期癌としか診断できず,この内訳はpmに微小浸潤する5病変,pm以下にmassiveないし索状に浸潤した病変ではC領域の4病変,伸展が良好な2病変と小彎でひだ集中の軽度な2病変であった.早期癌類似進行癌の肉眼型は,ひだ集中を伴いBorrmann型の周堤の隆起を伴わない陥凹型癌のうち,著明なひだ集中を伴うか,あるいは陥凹周囲の隆起の明らかなものと定義され,著明なひだ集中を伴う例では胃壁の組織学的変化の深さが癌の深達度と判定されると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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