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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻12号

1990年12月発行

今月の主題 早期胃癌類似進行癌の診断

主題

早期胃癌類似進行癌の病理組織学的検討

著者: 下田忠和1 鄭鳳鉱23 小井戸薫雄1 池上雅博1 石井高暁1 大野直人1 木村知行1 牛込新一郎1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学病理 2大阪医科大学第2内科 3大野記念病院

ページ範囲:P.1441 - P.1452

文献概要

要旨 早期胃癌類似進行癌の大部分は陥凹型で,癌の深部浸潤の拡がりが粘膜内癌のそれよりも狭いものが多い.また癌の深部浸潤形式は微小浸潤,あるいは散在性浸潤で,癌細胞量は少ないものが多かった.このような浸潤形式を示す要因として癌巣内での繰り返した潰瘍の存在と,それによる持続した胃壁内の高度な線維症が最も大きく,それと相まって肉眼での深達度診断を困難にしていると考えられた.これに対して陥凹型早期胃癌の形態を保持しているが,肉眼的には進行癌とされるBorrmann型との中間型は消化性潰瘍の併存頻度が低かった.また肉眼的には粘膜ひだの集中を伴い消化性潰瘍の存在が疑われる症例でも,胃壁内の線維症は軽度,かつ癌細胞はびまん性浸潤を示していた.これらのことより陥凹型胃癌の肉眼形態に与える影響は癌の深部浸潤形式と同時に,消化性潰瘍の線維症が最も大きい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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