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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻2号

1990年02月発行

今月の主題 膵囊胞性疾患―動態診断の基礎と臨床

主題

膵囊胞性疾患の外科治療

著者: 神谷順一1 二村雄次1 早川直和1 近藤哲1 堀明洋1 片山信1 塩野谷恵彦1

所属機関: 1名古屋大学医学部第1外科

ページ範囲:P.205 - P.210

文献概要

要旨 1976年1月から1989年8月までの13年8か月間に当教室で治療を行った膵疾患は271例である.このうち21例が分枝型あるいは囊胞形成型の粘液産生疾患で,26例が仮性囊胞を伴った膵疾患であった.粘液産生疾患に対しては,腫瘍や病変の進展範囲を十分診断したうえで,膵切除範囲や郭清の程度を決定している.膵切除術式は,頭部切除(PD)13例,体尾部切除7例,体部切除1例であった.病理診断は,癌5例(いずれも粘膜内癌),腺腫8例,過形成8例である.膵病変再発例はなく,quality of lifeはPDの1例を除き良好であった.仮性囊胞26例のうち,23例は慢性膵炎に起因し,3例は膵癌に随伴したものである.慢性膵炎に対する外科治療は膵温存術式を基本としており,囊胞合併例においては囊胞の部位や膵管との交通の有無あるいは主膵管拡張の有無などによって術式を選択している.施行した術式は,膵体尾部切除10例,Puestow手術5例,Partington手術4例,その他4例である.17例の消息が判明しており,14例が現在社会復帰している.膵癌に随伴した仮性囊胞の3例では,2例に根治手術を施行でき,術後7か月と14か月生存した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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