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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻2号

1990年02月発行

今月の主題 膵囊胞性疾患―動態診断の基礎と臨床

主題症例

2年2か月間経過観察した後に膵体尾部切除を施行した膵囊胞性病変の1例

著者: 中迫利明1 吉川達也1 今泉俊秀1 鈴木衛1 小形滋彦1 吉井克己1 原田信比古1 小松永二1 木村健1 秋本伸1 中村光司1 羽生富士夫1 土岐文武23 磯部義則3 斎藤明子2

所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター外科 2東京女子医科大学消化器病センター内科 3東京女子医科大学消化器病センター放射線科

ページ範囲:P.221 - P.226

文献概要

要旨 患者は65歳,無症状の男性である.人間ドックのUSで膵の異常を指摘され,来院した.US,CTで体部に2.5×1.5cmの多房性囊胞を認めた.ERCPで主膵管は軽度拡張し,体部の膵管分枝の囊胞状拡張を認めた.乳頭の腫大,発赤,開口部開大はなかった.血管造影所見では特に異常所見は認めなかった.膵液細胞診ではClass Ⅰであった.以上より,悪性所見が得られなかったため経過観察となった.初期診断より2年2か月後のCT,USでは膵囊胞性病変の形態に著明な変化はなかったが,ERCPでは囊胞性病変部の増大傾向を指摘されたため,悪性を疑い膵体尾部切除を施行した.病理組織学的診断は粘液産生性過形成であった.術後経過は良好で,全経過を通して,自覚症状,血液生化学検査,腫瘍マーカーなどに異常はなく,術後3年経過し元気に社会復帰している

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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