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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻2号

1990年02月発行

今月の主題 膵囊胞性疾患―動態診断の基礎と臨床

主題症例

単房性囊胞様所見を呈した粘液産生膵癌の1例

著者: 大沼俊和1 山瀬裕彦1 山田昌弘1 沼田正樹1 壺井孝良2 武田敦2 山雄健次3 中澤三郎3 中尾昭公4

所属機関: 1瑞浪昭和病院内科 2瑞浪昭和病院外科 3藤田学園保健衛生大学第2病院内科 4名古屋大学医学部第2外科

ページ範囲:P.234 - P.240

文献概要

要旨 患者は70歳の男性.尿濃染を主訴に来入院.US,CTで膵全体の著明な腫大と主膵管の単房性の囊胞状拡張像を認めた.PTCD造影では膵部総胆管の圧排しめつけ様狭窄像を呈し,内視鏡検査では主乳頭開口部の開大と副乳頭の腫大,主乳頭,副乳頭,胃体部後壁および前庭部小彎の瘻孔から粘液流出が観察された.ERCPでは著明に拡張した主膵管と副膵管が認められた.経口的膵管鏡検査では主膵管内に乳頭状腫瘤が観察され高度に進行した粘液産生膵癌と診断した.門脈合併膵全摘術を行った.拡張した主膵管内には粘液が充満し,肉眼的に5か所に乳頭状腫瘤を認めた.病理組織学的には乳頭状腺癌で主膵管から膵管分枝全体,副乳頭にも癌が浸潤していた.膵実質は著明な線維化に置き換わり,一部にmuconodularな浸潤とその部位から胃粘膜に浸潤していた.進行した粘液産生膵癌の浸潤様式を考えるうえで示唆に富む症例と考えられたので報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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