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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻3号

1990年03月発行

今月の主題 胃癌の切除範囲をどう決めるのか

主題

胃癌の切除範囲をどう決めるのか―X線・内視鏡診断と術中色素散布法

著者: 八尾恒良1 二見喜太郎1 有馬純孝2 岩下明徳3 中原束3 今村健三郎1 瀬尾充4 櫻井俊弘1 岡田光男4

所属機関: 1福岡大学筑紫病院内科・消化器科 2福岡大学筑紫病院外科 3福岡大学筑紫病院病理部 4福岡大学医学部第1内科

ページ範囲:P.291 - P.301

文献概要

要旨 胃癌の手術で胃の切除線を決定する方法について述べ症例を呈示した.①噴門部癌食道浸潤範囲の診断:通常はX線,内視鏡で食道粘膜表面の状態を描出すればよい.しかし癌が食道の管腔表面には露出せず粘膜固有層を浸潤することがあるので,病巣の口側粘膜の生検を行っておくことが必要である.②粘膜内の癌浸潤範囲の診断:(A)術前診断:X線,内視鏡で境界が鮮鋭な場合は,その口側を生検し癌陰性であることを確かめておけばよい.口側が随伴Ⅱb,Ⅱb,浅いⅡcを示す場合は以下の手順が有用である.(a)境界と思われる部にクリッピングを行う.(b)留置されたクリップの口側より生検を行い,口側に癌がないことを確かめる.(c)その後にX線検査を施行し,食道胃接合部よりクリップまでの距離を確認する.(d)このとき,クリップを目安として病変部境界がバリウムの付着異常として描出されればなおよい.(B)術中診断:術前にクリップなどで癌浸潤範囲が“線”として確認できていればクリップを目標に切除線を決定する.術前診断が不十分であればopen gastrectomyを行い,色素を散布して粘膜面の微細な変化を確認したうえで切除線を決定する.以上の論旨に基づき症例を呈示した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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