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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻3号

1990年03月発行

今月の主題 胃癌の切除範囲をどう決めるのか

主題

胃癌の切除範囲をどう決めるのか―病理の立場から

著者: 滝澤登一郎1 岩崎善毅1 前田義治1 荒井邦佳2 北村正次2 加藤久人3 榊信廣3 小池盛雄1

所属機関: 1東京都立駒込病院病理科 2東京都立駒込病院外科 3東京都立駒込病院内科

ページ範囲:P.319 - P.328

文献概要

要旨 胃癌の切除範囲を決める際の問題点を病理の立場から整理してみた.次の4つの問題が指摘できる.①病変の範囲が判読困難なⅡbやⅡb類似癌.②進行癌における癌性リンパ管症.③取り残しが生じうる多発胃癌.④病理組織診断の誤り.具体例に即して論じ,次のように結論した.(1) Ⅱb,Ⅱb類似癌単独の場合よりも,その周囲に潰瘍瘢痕やⅡc,進行癌などの明瞭な病変が共存している場合に,Ⅱb,Ⅱb類似病変は一層診断困難となる.(2) 癌性リンパ管症による断端陽性を回避する手段は,凍結標本による迅速病理診断のみである.比較的若年者のⅡc類似進行癌で,組織型が低分化腺癌や印環細胞癌の場合,癌性リンパ管症による断端陽性を想起する必要がある.(3) 多発胃癌の頻度は予想外に高い.今後,多発癌症例に対して全胃切除を決定する診断基準を検討したい.(4) 病理組織診断が絶対ではない.肉眼でより的確に病変の範囲が判読できる症例も存在する.X線診断が軽視されるような風潮は好ましくない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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