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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻4号

1990年04月発行

症例

晩発性放射線性食道潰瘍の1例

著者: 河野辰幸1 山崎繁1 下重勝雄1 本田徹1 菅野範英1 兼信正明1 五関謹秀1 吉野邦英1 遠藤光夫1 岡安勲2 中村晃一3

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部第1外科 2東京医科歯科大学医学部病理部 3仁寿会中村病院

ページ範囲:P.461 - P.466

文献概要

要旨 患者は77歳の女性,嚥下障害を主訴に来院.15年前,左乳癌により定型的乳房切断術と放射線照射を受けていた.上部消化管造影および内視鏡検査では頸胸境界部食道の右壁に粘膜下の要素をもつ隆起と小潰瘍を認め,1か月後には径約1cmの潰瘍となった.内科的治療に抗し,狭窄症状が高度なため切除再建術を行った.標本では潰瘍を中心とする長径約5cmの食道壁肥厚があり,組織学的には全層性に高度の線維化を認めた.また,細血管の増生,拡張が著明であったが,潰瘍の治癒傾向はみられず,これらの組織所見と既往歴から,晩発性の放射線性食道潰瘍と診断し,嚥下障害も筋層を含む高度の線維化による運動機能異常に基づくものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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