文献詳細
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海外文献紹介「大腸癌ハイリスク患者の大腸粘膜増殖に対するカルシウム投与の効果」 フリーアクセス
著者: 白井正人1
所属機関: 1愛知県がんセンター消化器内科
ページ範囲:P.472 - P.472
文献概要
高脂肪食を摂取すると胆汁酸の分泌が増加し,これが大腸癌発生に関与しているとの仮説があり,これを裏づける動物実験の報告もある.更に,これも動物実験ではあるが,カルシウムを経口投与するとこの胆汁酸による大腸粘膜障害を軽減すると考えられている.カルシウム投与が臨床的に大腸癌予防に応用しうるものかどうかを検討する目的で大腸癌の手術歴のある患者(ハイリスク患者)の大腸粘膜に及ぼすカルシウム投与の影響を検討した.30例の大腸癌切除既往のあるボランティアをカルシウム1,200mg/日を経口投与する群とplacebo群に分け,30日投与前後で次の項目の変化を検討した.大腸粘膜の損傷の程度を,内視鏡下生検組織中でアイソトープで標識したthymidine取り込み能のある細胞の割合(labelling index)を検鏡下で計算することで判定した.また,内視鏡検査時に糞便も採取し,その中のpH,カルシウム濃度および胆汁酸濃度を測定し糞便の性状に与えるカルシウム投与の影響を検討した.
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