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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻5号

1990年05月発行

今月の主題 炎症性腸疾患の鑑別診断(1)―小腸・回盲部病変を中心に

主題

炎症性小腸疾患の内視鏡的鑑別診断

著者: 多田正大1 清水誠治1 大塚弘友1 磯彰格1 青木美博1 川井啓市2

所属機関: 1京都第一赤十字病院第2内科 2京都府立医科大学公衆衛生

ページ範囲:P.546 - P.556

文献概要

要旨 今日に至っても小腸内視鏡検査法は遅々たる進歩にとどまっており,挿入・観察方法は開発当初のプッシュ式,ロープウェイ式,ゾンデ式の域を出ることができていない.しかもスコープを挿入する技術は依然として難しい.したがって炎症性腸疾患の鑑別診断について論じる以前に,まずできるだけ多くの症例を集積して,内視鏡診断学の基本造りからスタートしなければならないのが現況である.ともあれ過去18年間の筆者らの小腸内視鏡検査369回の経験を基に,炎症性腸疾患に対する内視鏡診断の実態について述べた.最近5年間で自験例ではCrohn病が増加し,腸結核や寄生虫疾患が少なくなった.挿入方法別にみるとロープウェイ式を行う機会が減ってきた.小腸の炎症性疾患のうち内視鏡検査の適応となるのは慢性炎症・難治性炎症であることが多いが,これらの疾患では経過観察を行うことによって確定診断に至る場合も少なくない.小腸では簡便に経過観察を行うことが難しいため,その内視鏡的鑑別診断には困難さを伴うものである.しかし鑑別診断の基本は小腸であっても大腸であっても同じであり,個々の微細病変と腸管の変形,病変範囲と拡がり方などを総合的に読影してゆくことがポイントであることを強調した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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