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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻5号

1990年05月発行

症例

術後13年で残胃に再発をみた膠様腺癌の1例

著者: 古川剛1 林繁和1 大保和之1 栗田恭充1 加納潤一1 福島俊郎1 佐竹立成2 中村常哉3

所属機関: 1名古屋掖済会病院消化器科 2名古屋掖済会病院病理 3愛知県がんセンター消化器内科

ページ範囲:P.599 - P.604

文献概要

要旨 患者は70歳,男性.13年前にBorrmann3型胃癌で胃亜全摘術(Billroth Ⅰ法)を受けており,腹痛,嘔吐を主訴に近医を受診,当院を紹介された.上部消化管X線検査では残胃の中央に淡いバリウム斑を伴う境界が比較的明瞭な隆起性病変と,十二指腸側の圧迫像で吻合部に接して中央に淡いバリウム斑を伴う境界明瞭な隆起性病変を認めた.胃内視鏡検査で残胃吻合部小彎線に黄白色の白苔に覆われた不整陥凹を伴う境界明瞭な隆起性病変と,それと連続するように十二指腸側に周囲の隆起した不整陥凹を認めた.胃側も十二指腸側も生検で中分化型腺癌を認め,残胃の亜全摘を施行した.切除胃固定標本では吻合部小彎線にまたがる隆起性病変を認め,多くは正常粘膜に覆われているが,吻合部を挟んで胃側に7×7mm,十二指腸側に10×3mmの不整形の陥凹を認めた.病理組織学的には潰瘍周辺で中分化型腺癌を認めたが,粘膜下の腫瘍組織のほとんどが初回手術時同様,膠様腺癌の像を呈していた.本症例では結合織の増生の少ない膠様腺癌のため興味ある表面形態をとり,悪性リンパ腫との鑑別が困難であった.進行胃癌切除後13年を経て吻合部に再発した胃膠様腺癌の1例を報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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