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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻5号

1990年05月発行

文献概要

症例

oncocytic differentiationを示した胃カルチノイドの1例

著者: 鴻江和洋1 米川幸裕1 松崎秀幸1 北村和生1 中垣悟2 志垣信行2 三隅哲郎2 山崎勝美2 下田子甲3 宮山東彦4

所属機関: 1荒尾市民病院内科 2荒尾市民病院外科 3下田内科医院 4熊本市民病院病理

ページ範囲:P.605 - P.610

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要旨 患者は54歳,男性.胃カルチノイドの疑いで手術施行.肉眼的に胃角部前壁側に15×12×4mmの粘膜下腫瘍を思わせる隆起性病変があり,中央に小さな白苔を有していた.腫瘍は病理組織学的に前腸由来の好銀性カルチノイドに一致する所見であったが,3つの異なる組織像,すなわち①ロゼット様構造を示す部分,②髄様腺管癌様の構造を示す部分,③oncocyteの集団,から構成されていた.特に③の部分は通常のカルチノイドには認め難い組織像であったが,免疫組織化学的検索によってガストリン,S-100蛋白,NSEが証明された.更に電子顕微鏡によっても内分泌顆粒と多数のミトコンドリアが細胞質内に認められた.肺のカルチノイドにはoncocyteが出現するという報告はあるが,今回の症例のように胃のカルチノイドにもoncocyteが出現することが証明され,カルチノイド腫瘍の組織多様性を改めて確認した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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