文献詳細
今月の主題 炎症性腸疾患の鑑別診断(2)―大腸病変を中心に
序説
文献概要
注腸二重造影法,コロノスコピーが実用化した60年代後半から70年代にかけては,大腸では腫瘍性病変が少なく,かつ形態的に単純(ポリープと2型癌)であったせいで,診断の主力は当時すでに多かった炎症性疾患に向けられた.
コロノスコピーは大腸疾患の決して多いとは言えない日本で完成(少なくとも商業ベースでは)するという,ある意味では不幸な出生であった.大腸疾患診断の隘路のbreak throughをなすものとして必然性をもって生まれたのではなく,技術があるからできたという面が否定できない.腫瘍に関しては歴史の古い直腸鏡による仕事が既にたくさんあり,それらの業績を十分利用できた.大腸の炎症性疾患(以下大腸炎)については,腸結核,Crohn病のように直腸に異常のないものが少なくないこともあって,その診断については精力的に行われた.文献をひもとけば1970年代には大腸炎の診断に関する発表が多いことがよくわかる.
コロノスコピーは大腸疾患の決して多いとは言えない日本で完成(少なくとも商業ベースでは)するという,ある意味では不幸な出生であった.大腸疾患診断の隘路のbreak throughをなすものとして必然性をもって生まれたのではなく,技術があるからできたという面が否定できない.腫瘍に関しては歴史の古い直腸鏡による仕事が既にたくさんあり,それらの業績を十分利用できた.大腸の炎症性疾患(以下大腸炎)については,腸結核,Crohn病のように直腸に異常のないものが少なくないこともあって,その診断については精力的に行われた.文献をひもとけば1970年代には大腸炎の診断に関する発表が多いことがよくわかる.
掲載誌情報