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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻6号

1990年06月発行

今月の主題 炎症性腸疾患の鑑別診断(2)―大腸病変を中心に

主題症例

術後小腸に炎症が再発した潰瘍性大腸炎の1例

著者: 馬場理加1 長廻紘1 屋代庫人1 飯塚文瑛1 大原昇1 佐藤秀一1 長谷川かをり2 五十嵐達紀3 秋本伸3

所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター内科 2東京女子医科大学消化器病センター第2病理 3東京女子医科大学消化器病センター外科

ページ範囲:P.691 - P.696

文献概要

要旨 患者は27歳,男性.2年前に全大腸炎型潰瘍性大腸炎の診断で全結腸切除回腸直腸吻合術を施行されており,血便,下痢を主訴に再入院となった.吻合部より口側約50cmにわたって不整型の辺縁に発赤のある潰瘍の多発,非潰瘍部粘膜の発赤を認めた.生検ではびまん性の炎症で潰瘍性大腸炎の再燃と診断した.直腸は炎症の治癒像を示していた.切除標本では肉眼的には回腸は正常であったが,組織学的には炎症を認めていた.潰瘍性大腸炎は大腸を切除すれば再発しないと言われているが,backwash ileitisが少なくとも組織学的レベルでは決してまれでない.本症例のように小腸再燃をみる場合もあり,潰瘍性大腸炎は大腸に限局した炎症との考えは修正を迫られる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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