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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻6号

1990年06月発行

文献概要

今月の主題 炎症性腸疾患の鑑別診断(2)―大腸病変を中心に 主題症例

大腸結核との鑑別が困難であった大腸Crohn病の1例

著者: 平田一郎1 島本史夫1 林勝吉1 松本恒司1 斎藤治1 芦田潔1 浅田修二1 本合泰1 岩越一彦2 大柴三郎1

所属機関: 1大阪医科大学第2内科 2神戸労災病院消化器内科

ページ範囲:P.713 - P.718

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要旨 患者は72歳の男性で,主訴は水様便と発熱,ツ反は強陽性を呈した.初回入院時の注腸および内視鏡所見は,下行~上行結腸にかけての粘膜集中を伴う類円形・不整形潰瘍である.縦走潰瘍やcobblestone像は認めていない.潰瘍は幾分輪状傾向を呈し,この時点で大腸結核が疑われ抗結核剤投与が行われた.3か月後,病状・注腸所見は改善し治療に反応したと考えられた.その後の十分な抗結核療法にもかかわらず,再燃を2回繰り返し内科的治療に次第に反応しなくなったので,初発より約4年後に手術が施行された.本症例は,高齢,ツ反強陽性,抗結核剤に対する反応および初回の注腸・内視鏡所見などから大腸結核がまず考えられたが,経過をみるうちに縦走潰瘍,cobblestone像や腸管の狭小化が顕著となり,手術標本の肉眼・組織所見からも最終的には大腸Crohn病と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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