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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻8号

1990年08月発行

今月の主題 臨床経過からみた胃生検の問題点

主題

胃隆起性病変における生検診断GroupⅢの問題点―内視鏡的立場より

著者: 早川和雄1 福地創太郎1 木村孝1 橋本光代1 吉田行哉1 星原芳雄1 小松淳2 惣名司2 海上雅光3

所属機関: 1虎の門病院消化器科 2虎の門病院内視鏡室 3虎の門病院病理学科

ページ範囲:P.927 - P.939

文献概要

要旨 初回生検でGroupⅢと診断された隆起性病変224病変のうち,手術あるいは内視鏡的切除術を行い,最終組織診断が得られた53病変について,内視鏡所見と組織所見を対比し,生検診断GroupⅢの問題点を検討した.53病変中36病変(67.9%)は組織学的にⅡa-subtypeを含む異型上皮巣であり,17病変(32.1%)が癌であった.癌はすべて高度に分化した癌であり,初回生検で癌と診断しえなかった理由は,生検という小さな組織片による限られた情報に起因していたと考えられる.内視鏡診断をみるとⅡa-subtypeを含む異型上皮巣では,多くはⅡa-subtypeないしはその疑いと診断していた.一方,癌では約30%がⅡa-subtypeとの鑑別が極めて困難であったが,65%はⅡa-subtypeと多少とも異なる内視鏡所見を示し,内視鏡的に癌が疑わしい例であった.生検でGroupⅢと診断された場合,内視鏡所見および生検所見より,総合的にⅡa-subtypeと判定した場合は経過観察でよいが,内視鏡的に癌が疑わしい場合は,病理医との緊密な連携のうえで速やかに再生検を行い,それでも結論の出ない場合には,内視鏡的切除術の対象となると考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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