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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻8号

1990年08月発行

今月の主題 臨床経過からみた胃生検の問題点

主題研究

胃の腸型上皮性腫瘍の悪性判別率による客観的組織診断:その生検への応用

著者: 石堂達也12 中村恭一1 西沢譲3

所属機関: 1筑波大学基礎医学系病理 2土浦協同総合病院 3東京都がん検診センター

ページ範囲:P.971 - P.981

文献概要

要旨 異型性とされている腺管単位の核細胞質比,腺管密度に加え新たに定義した腺管大小不同指数,複雑形腺管出現頻度を用いて良性と悪性に振り分けるための4変量判別式を導いた.それを用いて胃の腸型腫瘍性病変の手術標本と生検標本とを検討し,以下の結果を得た.①手術標本では4つの異型度係数は共に有効であったが,生検標本では腺管密度は無効であった.②悪性判別率は組織異型度のみでなく,悪性であることの確率を示す数値であり,それは臨床的に有効であるとみなされた.③明らかな良性異型上皮巣の多くの病巣は,悪性判別率0~20%を呈し,その組織異型のとりうる幅は小さかった.一方,明らかな分化型癌では,組織異型のとりうる幅は大きいが,多くは悪性判別率80~100%を呈し,それが0~20%を呈することはまれであった.④3つの異型度係数に基づく生検組織診断基準によって,生検組織が良性異型上皮巣の異型の強い部位から採取されたのか,分化型癌の異型の弱い部位から採取されたのか予測することができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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