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文献詳細

雑誌文献

胃と腸25巻9号

1990年09月発行

文献概要

今月の主題 早期食道癌を問う 主題

食道粘膜内癌と粘膜下層癌の鑑別診断―X線診断の立場から

著者: 八巻悟郎1 白壁彦夫2 福地創太郎3 秋山洋4 鶴丸雅彦4 海上雅光5 原満5

所属機関: 1虎の門病院放射線診断学科 2早期胃がん検診協会中央診療所 3虎の門病院消化器科 4虎の門病院消化器外科 5虎の門病院病理学科

ページ範囲:P.1027 - P.1037

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要旨 食道の上皮内癌(ep癌)・粘膜筋板までの癌(mm癌)と粘膜下層癌(sm癌)の深達度診断をX線学的に検討した.まず,診断の基礎となる病理学的事項として,肉眼型と大きさから深達度を検討し,次の結果を得た.①隆起型の1cm以下はmm癌であったが,1cm以上の病変はsm癌であった.②表面隆起型と表面陥凹型は大きさに関係なく全例ep癌かmm癌であった.③陥凹型と混合型は大きさに関係なく全例sm癌であった.このことから,X線像で肉眼形態を忠実に描出することができれば,大部分の病変の深達度診断は可能であることが示唆された.ep癌とsm癌の鑑別には問題がない.mm癌とsm癌の鑑別が問題である.なかでも,mm癌のうち粘膜固有層に深く浸潤した病変と,sm癌のうちわずかに粘膜下層に浸潤した病変との鑑別である.これらの病変のX線像を,辺縁像と辺縁近傍の粘膜像の不整および,粘膜像の所見から検討した.その結果,辺縁像と辺縁近傍の粘膜像の不整がごく軽度の病変はmm癌であった.また,これより明瞭な不整がみられた病変では,粘膜像の所見を加えることにより深達度の診断の向上が図れる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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