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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻1号

1991年01月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌―診断の基本と方法 主題 Ⅰ.診断の基本

肉眼所見との対比からみたX線診断―潰瘍を伴わない陥凹型について

著者: 浜田勉1 三輪洋人1 大蔵隆一1 梁承郁1 大野雅子1 渡辺晴生1 今井靖1 小林修1 永原章仁1 前広康平1 村井敏夫1 野村るり子1 吉峰二夫1 佐藤信紘1 白壁彦夫2

所属機関: 1順天堂大学医学部消化器内科 2早期胃がん検診協会中央診療所

ページ範囲:P.27 - P.38

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要旨 1cm以上の潰瘍を伴わない陥凹型早期癌のうち,術前に空気量を変えて病変を写し分けたX線所見とホルマリン固定後の肉眼所見との対比が可能であった39病変(m癌25病変,sm癌14病変;分化型27病変,未分化型12病変)を材料とした.ルーチンX線検査を施行した33病変のうち11病変(33.3%)を拾い上げた.陥凹面の性状は顆粒状では陥凹が0.5mm以下が87%(20/23)を占め,均一無構造状では1.0mm以上が56%(9/16)と多く,陥凹の深さと関連がみられた.陥凹周囲に隆起所見を認めたものは4&1%(19/39)で,分化型に多く,X線所見において隆起所見は78.9%(15/19)にあり,いずれも圧迫法で透亮像としてみられた.辺縁の変形のあるものはsmが80%(4/5),ないものはmが81.8%(9/11)を占め,変形と深達度とに関連がみられた.肉眼所見とX所見との対比が困難な症例を呈示し,圧迫では陥凹周囲の隆起性変化の有無が描出には重要であること,二重造影では陥凹が軽微になるほど肉眼所見とX線所見の一致は難しく,この差を認識して診断する訓練や部位,空気量の違いを考慮する必要があることが考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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