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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻1号

1991年01月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌―診断の基本と方法 主題 Ⅱ.方法論の展開―現状と将来の明暗

胃癌の超音波内視鏡診断

著者: 木田光広1 山田至人1 坂口哲章1 安達献1 小林清典1 田辺聡1 野登誠1 小泉和三郎1 横山靖1 大井田正人1 真玉壽美生1 西元寺克禮1 三重野寛喜2 榊原譲2 比企能樹2 中英男3

所属機関: 1北里大学医学部内科 2北里大学医学部外科 3北里大学医学部病理

ページ範囲:P.61 - P.70

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要旨 この10年間に長足の進歩を遂げ,臨床診断の場において術前検査の1つとして位置付けられつつある超音波内視鏡(EUS)の検査方法,現状,将来的展望について述べた.検査時には脱気水注入量の調節,体位変換,呼吸位の調節が重要で,また病変の同定が難しい場合には,鉗子生検を用いて同定する方法もある.EUSによる深達度診断を,胃癌321例(早期胃癌190例,進行胃癌131例)を対象として検討した.その正診率はm癌90.4%(94/104例),sm癌69.8%(60/86例),pm癌73.3%(22/30例),ss~s癌87.1%(88/101例)で,全体では82.2%(264/321例)であった.EUSによる胃癌深達度診断における現時点の問題点は,癌浸潤と潰瘍に伴う線維化の鑑別,Ⅰ型などの隆起型の成績がやや不良であること,胃角,前壁の正診率が他と比較しやや不良であること,病変が大きくなるに従い正診率が低下することなどである.まず第1の問題である癌浸潤と線維化の鑑別は,パターンよる判定である程度可能であるが,線維化内,近傍への微小浸潤例の正診は現時点では困難である.将来的にEUSによる深達度診断が現状を打破するためには,走査性の改善と臨床上の分解能の向上が重要と考えられる.また内視鏡用超音波プローブの今後の発展が期待される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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