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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻10号

1991年10月発行

文献概要

研究

組織形態計測に基づく大腸絨毛状腫瘍の異型度の評価と良性悪性判別

著者: 伴慎一1 中村恭一2 大倉康男3 石堂達也4 斉藤澄1

所属機関: 1筑波大学基礎医学系病理 2東京医科歯科大学医学部第1病理 3東京都がん検診センター 4土浦協同病院病理

ページ範囲:P.1193 - P.1199

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要旨 大腸絨毛状腫瘍の良性悪性を客観的に振り分けるために,それを対象として,2つの異型度係数(ING,ISA)とそれから導かれる判別式について検討を行った.絨毛状腫瘍のING平均値は良性腺管腺腫のそれに近く,ISA平均値は管状腺癌のそれよりも高かった.それらの分布をISA-ING相関図上でみると,良性腺管腺腫と管状腺癌の分布域の間の領域を中心に分布していた.また,それらは良性腺管腺腫・管状腺癌の計測値から得られた二変量線形判別関数Fによりその約70%が悪性に判別された.これらのことから,絨毛状腫瘍の組織構造は悪性としての構造異型の1つであると考えられる.明らかな悪性絨毛状腫瘍の計測値と管状腺癌のそれとの間に差があることから,異型度係数の重みづけを変えずに両者の平均値の差だけFを平行移動して,それを絨毛状腫瘍の新しい良性悪性組織診断基準とすると,絨毛状腫瘍の計測値の95%は悪性に判別された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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