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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻11号

1991年11月発行

文献概要

今月の主題 膠原病と腸病変 主題

進行性全身性硬化症(PSS)の消化管病変―小腸病変を中心に

著者: 川久保啓司1 飯田三雄1 多田修治1 興梠憲男1 松本主之1 八尾隆史2 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2九州大学医学部第2病理

ページ範囲:P.1223 - P.1233

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要旨 進行性全身性硬化症(PSS)患者12例を対象とし,消化管病変の特徴を小腸を中心に検討した.X線所見では食道・十二指腸・空腸の拡張を各6例(50%)に,大腸のhaustraの消失・減少を5例(46%)に認めた.充満像および二重造影像の検討では,空腸拡張像を認めたPSS群は正常対照群と比べ腸管幅が有意に大きく皺襞谷幅が有意に小さかったが,皺襞山幅には差がなかった.PSS症例の充満像と二重造影像を比較すると,二重造影像において腸管幅は更に拡張し,皺襞谷幅は更に縮小した.小腸X線像の経過が追えたPSS例では,経過と共に腸管幅の拡大と,皺襞谷幅・山幅の縮小が観察された.生前腸管の拡張が著明であった剖検例の組織像では,全消化管の粘膜下層・固有筋層に膠原線維の沈着と慢性炎症細胞浸潤を認めた.筋線維の消失・減少は,特に十二指腸・空腸の内輪筋において顕著であった.以上の結果から,PSS患者の小腸X線像では腸管幅の拡張と皺襞谷幅の縮小に注目することが診断上重要である.更に,拡張の程度は腸管の組織障害の程度を反映していると考えられ,病変の進行度を客観的に評価するうえで,小腸X線検査は有用であると思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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