icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻11号

1991年11月発行

文献概要

今月の主題 膠原病と腸病変 主題

全身性エリテマトーデス患者にみられた腸病変

著者: 飯田三雄1 末兼浩史1 望月祐一1 八尾隆史2 壬生隆一3 田中啓二4 八尾恒良5 藤島正敏1

所属機関: 1九州大学医学部第2内科 2九州大学医学部第2病理 3九州大学医学部第1外科 4福岡市医師会成人病センター 5福岡大学筑紫病院内科

ページ範囲:P.1235 - P.1246

文献購入ページに移動
要旨 腸病変を合併した全身性エリテマトーデス(SLE)5例を報告した.年齢は16~44歳(平均33歳)で,男性1例,女性4例であった.SLEの病悩期間は8か月~20年(平均7.2年)であった.合併腸病変は,虚血性腸炎型(3例),蛋白漏出性腸症型(1例),大腸多発潰瘍型(1例)の3型に分類できた.虚血性腸炎型では,突然の腹痛で発症し,X線上全小腸に及ぶ皺襞浮腫像(一部に母指圧痕像)が描出された.蛋白漏出性腸症型では,比較的緩徐に発症し,多発性結節状陰影を主体とするX線像を示した.大腸多発潰瘍型も比較的緩徐に発症し,直腸~S状結腸に類円形の多発小潰瘍を認めた.3例で施行できた生検では血管炎の所見は捉えられなかったが,腸病変がSLEの活動期に発生していること,副腎皮質ホルモンの投与あるいは増量によって症状および腸病変の改善を認めたことなどより,これらの病変がSLEによる血管炎に基づいて生じたものと推測された.以上の成績より,活動期SLEの患者では,腹部症状の出現に留意し,腸病変の早期発見と早期治療に努めるべきであると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?