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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻11号

1991年11月発行

文献概要

症例

下咽頭癌を重複した胸部食道表在癌の4例

著者: 青木克憲1 馬場正三1 峯田周幸2 野末道彦2 西村哲夫3 喜納勇4

所属機関: 1浜松医科大学第2外科 2浜松医科大学耳鼻咽喉科 3浜松医科大学放射線科 4浜松医科大学第1病理

ページ範囲:P.1311 - P.1316

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要旨 下咽頭癌を同時性に重複した胸部食道表在癌の4例を経験した.全例に共通する事項として,①50歳台の男性,②梨状陥凹部原発の進行癌(Stage Ⅳ),③胸部食道に長径3.5~10cmの深達度ep~smの表在癌の存在,である.〔症例1〕は胃の早期多発癌を,〔症例3〕は口腔底癌を更に重複した.現在まで,口腔・咽頭・喉頭領域腫瘍の3.7~57%に胸腹部食道癌の重複が報告されている.筆者らの施設においては,食道癌切除例の3.9%(5/128),下咽頭癌切除例の21.1%(4/19)にそれぞれの癌の合併を認めた.根治手術(頸部郭清,非開胸食道抜去,喉頭全摘,下咽頭胃あるいは結腸吻合術)および術前後の集学治療にもかかわらず全例2年以内に死亡し,食道癌あるいは下咽頭癌の単発例に比較し著しく予後不良であった.4例の診断過程および病理所見を検討し,口腔・咽頭・喉頭領域腫瘍の治療に当たっては多発癌の観点から食道病変の十分な精査を行い,予後の向上に努めるべきことを強調した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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