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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻11号

1991年11月発行

文献概要

症例

放射線照射後のS状結腸に認められた極めて高分化な大腸癌の1例

著者: 望月眞1 田中昌宏2 斎藤建1 木村健3 山下圭輔4 小西文雄4

所属機関: 1自治医科大学病理学教室 2小金井中央病院消化器科 3自治医科大学消化器内科 4自治医科大学消化器外科

ページ範囲:P.1317 - P.1322

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要旨 患者は61歳,女性.1964年に子宮頸癌根治手術と術後放射線照射を受けた.1984年にS状結腸狭窄を指摘され,X線,内視鏡検査,生検で放射線大腸炎と診断された.1987年に狭窄部生検で癌と診断され,S状結腸切除術を受けた.切除標本では,狭窄部中央に陥凹があり,陥凹肛門側には細胞異型が高度な小さい高分化腺癌が存在した.陥凹の大部分では,粘液を産生する異型に乏しい細胞からなる腺管が,腺管内粘液貯溜や筋層内粘液塊形成を伴い粘膜下層に至るまで侵入しており,colitis cystica profunda(CCP)に類似していた.しかし,上皮の構造異型と破壊性増殖と脈管侵襲を呈することから,やはり高分化腺癌と診断した.周囲には軽度のCCPを伴う典型的晩期放射線性大腸炎が認められた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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