今月の主題 集検発見胃癌の特徴
主題研究
間接受診者(地域住民)より細径パンエンドスコープで発見しえた胃癌の有病率からみた間接集検の評価
著者:
志賀俊明1
西澤護1
細井董三1
岡田利邦1
山田耕三1
大倉康男1
蓮尾友伸1
小山田直朗1
新山徹美1
斎藤雄介1
磯村政保1
野本一夫2
牧野哲也3
渡辺明4
大村秀俊5
所属機関:
1東京都がん検診センター
2多摩がん検診センター
3東松山医師会総合病院
4松江診療所
5富士胃腸科内科
ページ範囲:P.1371 - P.1385
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要旨 現状の胃集検において間接X線ではどのような癌を拾い上げ,またどのような癌を見落としているかについて,集団検診受診者の中から無作為に選び出した50歳以上の男女17,976人(以下地域集検群と呼ぶ)に対する細径パンエンドスコープでの診断をコントロールとして,間接X線の胃癌診断の精度について検討した.①細径パンエンドスコープでの診断を100%として,間接での進行癌の示現率は93%で,前壁と胃上部の早期癌類似型を除けば,ほぼ良好に描出されていた.①間接での早期癌全体の示現率は39%で,隆起型の示現率は46%,陥凹型は36%であった.部位では前壁と胃上部の病変,および2cm以下の病変の示現率が低かった.①細径パンエンドスコープによる地域集検群からの胃癌発見率は,50歳以上の男性で2.03%(早期癌1.43%),女性で1.05%(早期癌0.80%),胃集検全国集計の胃癌発見率は精検受診者受検率100%に補正して,男性で0.47%(早期癌0.23%),女性で0.15%(早期癌0.07%)で,間接X線で発見しえない癌,特に早期癌が地域集検群中にかなり存在していることになる.