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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻2号

1991年02月発行

今月の主題 食道“dysplasia”の存在を問う

主題

生検による経過観察からみた食道の早期癌と“dysplasia”―癌組織発生と生検組織診断基準について

著者: 大倉康男1 中村恭一2 細井董三3 西澤護3

所属機関: 1東京都がん検診センター検査科 2東京医科歯科大学医学部第1病理 3東京都がん検診センター消化器科

ページ範囲:P.141 - P.152

文献概要

要旨 全割のなされた早期食道癌切除症例40例(ep癌10例,mm癌14例,sm癌16例)と,それらから採取された生検標本205例とを対象として,癌といわゆるdysplasiaとの関係を検討し,更に切除標本と生検標本との組織学的1対1対応を行うことによって,生検組織診断基準について検討した.その結果,①早期食道癌の異型組織所見はモザイク様であることが多く,それらの間には境界は認められず連続的であり,癌に随伴する異型上皮は認められなかった.②切除標本と生検標本との組織学的検討からは,異型上皮巣と診断された生検組織のほとんどは癌と診断すべきものであり,異型上皮巣の癌化を裏付ける所見は認められなかった.③したがって,食道癌は直接扁平上皮から発生すると推測された.④生検標本の癌組織診断には,核の大小不同,N/C比の増加,配列の乱れ,肥厚した上皮の乳頭状下方進展の所見が認められれば容易である.更に,水滴様下方進展が認められれば,浸潤癌を疑うべきである.また,紡錘状細胞集団の所見に注意すべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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