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文献詳細

雑誌文献

胃と腸26巻2号

1991年02月発行

今月の主題 食道“dysplasia”の存在を問う

主題

食道“dysplasia”の存在を問う―経過観察例から食道“dysplasia”を考える

著者: 西澤護1 細井董三1 岡田利邦1 山田耕三1 志賀俊明1 蓮尾友伸1 小山田直明1 下野健次1 宮澤晃治1 大倉康男2 野本一夫3 牧野哲也4 大村俊彦5 渡邊明6

所属機関: 1東京都がん検診センター(消化器) 2東京都がん検診センター病理 3東京都多摩がん検診センター 4東松山医師会総合病院 5富士胃腸科内科 6松江診療所

ページ範囲:P.185 - P.196

文献概要

要旨 食道dysplasiaの診断について,生検組織診断と内視鏡診断の経過観察例の分析から次のような結果を得た.(1) 食道m癌では,しばしば生検組織診断でatypia(mild,moderate,severe)あるいはesophagitisと診断されるが,術後の見直し診断ではほとんどsevere atypia(1回のみmoderate atypia)またはcancerと診断し直されている.(2) 生検組織診断上,atypiaと診断されるものに炎症性のものと腫瘍性のものがあり,炎症性のものはほとんど食道炎に起因し,腫瘍性のものはほとんど癌である.(3) 生検診断で1度でもatypiaとされたものは26例あるが,内視鏡所見(ルゴール染色を含む)および経過観察を合わせた最終診断では,13例が癌となり,11例が食道炎となり,1例は癌として経過観察中で,1例は4年9か月の観察で診断確定していない.以上の結果から,臨床からみた食道dysplasiaは,独立した疾患としてはほとんど存在しないことになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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